第14章 ~漆半々~GO3
一護より少し早く、卍解を修得した恋次はルキアを助けに向かっていた
双極に続く道すがら、知り過ぎている霊圧を感じて見上げると恋次の額から一筋の汗が伝う
「何処へ行くのだ…恋次…」
「…朽木隊長!!…ルキアを助けます!」
「…成らぬ…!!」
白哉は霊圧を上げ臨戦態勢を取る
「…どう言っても通してくれませんか…朽木隊長!!……それじゃあ無理やり通させてもらうぜッ!」
抜刀し恋次は自身も霊圧を高め白哉に切っ先を向ける
「…………」
「行くぜッ朽木白哉ッッ!!」
恋次は部下という立場を捨て白哉に斬りかかるが全く歯が立たない。卍解してもなお、縮まる事のない距離に憤りを感じる
「…副隊長になってからじゃねぇんだ…護廷十三隊に入るずっと前からオレが超えたいと願い続けたのは―朽木隊長アンタ一人だけなんだ…!!」
「猿捉側月…所詮は獸に捉えられるのは水に映った月のみ…誇るがいい。私の卍解を受けてなお人の貌を保っていることを…」
千本の剱に身を貫かれながらも立ち上がる、髪と躯を真紅に染めた男の姿に白哉は顔を歪める
「……何故だ…何故其処までする…」
「…誓ったんだ…必ず助けるって…唯―オレの"魂"にだ!!!!!」
恋次は最後の力を振り絞って白哉を斬りつけるも切っ先が少し届いただけだった。そして力つきひれ伏した
「…見事だった。最後の刃、確かに私に届いていたぞ…」
白哉は首に巻いた薄衣を恋次に被せるとその場を後にする
だが急に足を止め正面を見つめる
「……また兄か…」
その目線の先には懺罪宮の浅橋で会った旅禍の女性―――
「………白哉…」