第14章 ~漆半々~GO3
「…なんでしょう?」
私は足を止め振り返る
「僕ね、派手な物が好きなんだけどね?ほらこんな風に女物の着物を羽織ったり髪飾り付けたり…」
「そう...ですね」
「うん。でね、ある女の子を真似て帯も女物の帯締めにしたんだ…どうかな?」
私は言わんとしてる事を理解した。震える口元を噛み締めながら私は言葉を紡いだ
「と…とても…とてもよくお似合いだと思います」
「そりゃあ良かった♪」
穏やかに微笑む春水さんに私は一礼をし再び逃げる様に踵を返した
すると手を握られ私はそのままの体制で立ち止まる
「会えて良かった…この騒動が落ち着いたらまた一緒に酒を呑もうじゃない」
私は少し泣きそうになるも必死にこらえ返事の代わりに春水さんの手を握り返した
「……うん約束」
そして私はその場を去った
京楽は暫くサラの姿を見つめていたが後ろを向き大声で叫ぶ
「七緒ちゃーん!!居るんだろぅ?」
その声に反応して副官の伊勢七緒が現れる
「お呼びですか京楽隊長」
「出掛けるよ。僕の親友の処にね」
「…浮竹隊長の所ですか?解りました。先程の旅禍…お知り合いですか?」
「うん。心の恋人ってトコかな…七緒ちゃん妬ける?」
「ご心配なく。全くもってあり得ませんから」
「つれないねぇ……」
七緒の態度に笠を深く被る京楽はなんだかとても嬉しそうで七緒はサラの去った方角を見つめていた