第14章 ~漆半々~GO3
地獄蝶の伝令に一人の男が疑念を抱いていた
八番隊隊長の京楽春水だ。彼は暫くの思考後おもむろに口を開く
「ねぇ七緒ちゃん…僕はどうすればいいかな?」
「…ご自分のお好きなように…どうせ止めても無駄でしょう?」
「そんな事言って…また僕だけ山ジイに叱られちゃうじゃないか…」
副隊長の七緒に聞いたにも関わらず、言葉とは裏腹に口元は笑っていて、京楽はそっと立ち上がり部屋を出ていく
「京楽隊長?」
「ちょっと出てくるよ。どうやらお客さんみたいだしね…」
京楽は意味ありげな言葉を残し隊舎の外へと出ていく。するとそこには言葉通りに客が来ていた
「…女の子がわざわざ僕に会いに来るなんて嬉しいねぇ♪」
「八番隊隊長 京楽春水様。貴方にお願いがあって参りました」
「僕に?旅禍のお嬢さんが何用かい?」
私は胸元から封書を取り出すと投げ渡した
「これをどうかお役に立てて下さいませんか?」
京楽が内容を読むと少し驚いた顔を見せ、袖口にしまう
「四楓盾の解放ね…何故これを僕に?」
「貴方様の目的と私の利害が一致してると践みましたから…それにはその内容が必要です」
「成る程ねぇ…でもこれは一人じゃ出来ないみたいだけど君が一緒にやってくれるのかな?」
「…私でも構いませんがもっと相応しい方がいらっしゃるでしょう?その事も兼ねてお願いに参ったのです」
「やれやれ。僕の思ってる事はお見通しって訳ね…いいよ、君に乗ろうじゃない」
「有り難う御座います。私はまだしなければならない事がありますので…」
私が踵を返してこの場を立ち去ろうとすると、後ろから声が響いた
「ねぇ!!一ついいかな?」