第3章 ~弐~FRIEND
入学式当日、真新しい制服に身を包み、私は長年暮らした家を前に立ちすくんでいた
この家に暮らして20年以上経つのか…
喜助さんに助けられ、夜一さんと共に修行し、修兵に出逢った
ここには色んな思い出が詰まっている
「今日でこの家ともお別れか...」
いや、始まりだ
またここから新しく始まる
私は袖口からある物を取り出し、首に付けた
それは昔、喜助さんに貰った首飾り
私はそれを見つめ、握りしめると大きな声で叫んだ
「今までっ…お世話になりました!!!」
深々と長く頭を下げると、ゆっくり踵を返した
さぁ行こう――――
式典が行われる講堂に着くと、修兵が待っていた
「修兵っ」
「おー、その袴…似合ってんな///」
今までの長着とは違い女は赤、男は青の袴の制服でまた違うサラを見て、修兵は少し顔を赤らめる
「ありがとう!!修兵も良く似合ってるよ?ていうか…その顔どうしたの?」
サラは修兵の左頬を指差す
そこには"69"と刺青が彫られていた
「前に虚に襲われた話したろ?その時助けてくれた死神が入れてたんだ。入学したら絶対入れようと思っててよ。そういうサラこそ、その首に掛けてるの…」
「これ?これは...宝物」
「それは前に言ってた大切な人の…なのか?」
「ん...」
オレはサラの愛しそうな、それでいて悲しそうな表情に、少しだけ嫉妬した
(あんな瞳...オレには向けてくれたことないのに...)
「...そうか、ならオレもオマエも立派な死神にならないとな」
「うん!」
そう頷いたサラはもう笑っていて
オレはこの笑顔を守りたいと思った