第11章 ~陸~AWAKE
喜助はサラの一言に心臓がドクンと鳴る
「ずっと違和感があったんです。此処で会った時、貴方が初めましてと言った時…帽子を取った時…そして一護と闘う姿に懐かしさを感じて…そんなの当たり前ですよね。だって私は貴方を知ってるんですから…」
「まさか……」
「忘れていてごめんなさい…初めましてと言わせてしまってごめんなさい…」
私はゆっくりと振り返る
「…喜助さん…会いたかった…!!」
「―――――!!!」
大粒の涙を流しながら微笑む私を喜助さんはきつく抱きしめた
「やっと…思い出してくれた…」
「喜助……さ……」
暫くの間、二人は抱きしめあい温もりを確かめあう。そして私は今までの事を全て話した
「なんてことだ…ずっと後悔してました。サラさんを一人にした事を…まさかこんな事になるなんて」
「一人?私はいつだって喜助さんと一緒に居たわ…」
手を伸ばしそっと喜助さんの帽子を取ると、普段は見えない喜助さんの瞳が顔を出す
「その瞳の色…喜助さんがくれた首飾りと同じ色なんです。私はこれを見る度、常に喜助さんと一緒にいて忘れる事は無かった。いつだって喜助さんが傍にいてくれたんです」
「アタシはただ霊圧を抑えて死神にならない様にしようとしただけッスよ…」
「それは私を護ろうとしてくれたんです。私の意思で死神になったんだからそこから先は私の責任です。…私も後悔してませんから...」
「何故です?」
「失ったものもあるけどそれ以上に得たものが沢山あるから…それに死神になってなかったらまた喜助さんに逢えるなんて一生なかったでしょう?」
「…貴女は...強くなりましたね」
「だって喜助さんが言ったのよ?過去があるから今があるって…」
私は喜助さんの髪を優しく撫でる
「……何か、幼さ抜けましたね///」
「今の私はイヤ?」
記憶が戻ったサラは大人びていて、今までより艶がある喜助はガラにもなく緊張した
「まさか…綺麗さが増して少し戸惑ってるだけッスよ」
「なにそれ…」
サラはクスクスと花が咲いた様に笑いだした
「(天然小悪魔…)…でも笑顔は同じだ…」
喜助は再びサラを自分の胸に引き寄せると、額にキスを落とした