第11章 ~陸~AWAKE
喜助はサラの態度に違和感を感じ、サラの元へと向かった
「サラさん?大丈夫ッスか?」
声を掛けても返事が無く、仕方なく部屋に入ろうと扉に手をかけるとその手を制される
「…夜一さん」
「こういう時は女同士の方がいいじゃろ。喜助は一護の修行に戻れ」
「では…お願いします」
喜助が階段を降りていくのを確認すると夜一はサラの部屋に入っていく
「…入るぞ」
夜一が部屋に入るとサラはベッドの上で膝を抱え顔をうっ伏していた。
「サラ?具合でも悪いのか?」
サラはそのままの体制で首を横に振る
「なら一護の奴が心配で見てられんくなったか?」
サラはまた首を横に振った
「黙ってても解らんじゃろ。儂に話せん事か?…少しでも話してはくれんかのぅ?」
優しい口調で頭を撫でる夜一に、サラはか細い声で話始める
「今…織姫達に修行つけてるんだよね?」
「あぁ」
「…一護は今、死神の力を取り戻すのを頑張ってるの」
「そうじゃな…そうか、サラは皆の事が心配なんじゃな。奪還は余りにも危険…」
「違う…そうじゃない…」
「?なら何故…」
「死神の力を取り戻す方法…私には使えないのかなぁって。そしたら私も皆と尸魂界に行けるのにって…」
その言葉に夜一は目を見張った
「自分が死神って知った所で私には何の力も無い…付いていっても迷惑かかるだけ。今だって皆を心配する事しか出来なくて…」
「何を言っておる!!サラはいつだって皆を護って来たではないか!!」
「違う!!そんなの気休めでしかない!!…私嫌な子なの。皆こうして一生懸命修行してるのに…ずるいって…羨ましいって…だからあの場所にいると失礼な気がして…――――」
夜一は声を荒げるサラを抱きしめた
「…ずっと辛かったんじゃな。すまぬ…儂等には何も出来んのじゃ」
「何でこんな事になっちゃったんだろ…私だって死神なのにどうして…」
サラは夜一にしがみつき声を出して泣く。それを夜一は優しく抱きしめるしかなかった
その様子を扉の所で聞いていた喜助は、深くため息をつくと声を掛ける事無く勉強部屋へと戻っていった