第10章 ~伍半々~NEW3
「ハァッ…喜助…さん…どうして…」
涙目になりながら肩で息をし、呼吸を整える私の問いに答える事無く喜助さんは首筋をツウッと舐める
「あっ…やぁっ……!!」
私が思わず頭を後ろに反らすと、喜助さんは口角を上げる
「へぇ..サラさんって耳だけじゃなく首も弱いんスね…」
喜助さんがどうしてこんなことをするのか
どういう気持ちなのか、いつも目深に被る帽子のせいで表情が読み取れない
「……やっ///」
その言葉に私は恥ずかしさに耐えられなくなり、力強く喜助さんを押し返す
その拍子に喜助さんの帽子が床へと落ちてしまうが、私はその姿を見て抵抗を止めた
鶯色の瞳
それを見た瞬間、私は金縛りにあったかのように動けなくなった
「そんなに見つめちゃって…アタシそんなにイイ男ッスか?」
「……はい」
思いがけない返しだったのか、喜助さんは目を丸くして驚いた様子で
「あ…初めてちゃんと顔見たから…でも初めて見た感じがしなくて…何だか懐かしい様な…」
「――――!!!」
喜助さんの瞳が揺らいだ気がしたと思うと、そっと私の上から退き落ちた帽子を被り直した
「…喜助さん?」
「……サラさん、このままここにいると最後までシちゃいますよ?」
「最後まで…喜助さんのスケベ!!!」
私は真っ赤になりながら、逃げる様にニ階へ駆け上がっていった
一人になった喜助は深くため息を吐いた
「…何やってんスかね」
サラが遅いから迎えに行くとそこには黒崎さんもいた
何故か声が掛けられず暫くみていると、黒崎さんはサラを抱きしめキスをした
どういう理由かでも拒まないサラを見て無性に腹が立った
帰って来たサラは黒崎さんの事を話そうとしない、そして目を反らされた瞬間我を忘れてしまった
自分でも驚いた。自分にとってサラは妹であり娘であった筈なのに...
こんなにも嫉妬している自分がいた
やっとわかった
サラの事が愛しい
サラの事を一人の女性として愛していると伝えたい
サラ
早くボクを思い出して――