第10章 ~伍半々~NEW3
「オレの…オレのお袋と同じだ…」
か細い声の内容に、私は目を細めた
「サラが子供を庇った様に...オレのお袋もオレを庇って死んだ!!」
「……一護?」
「何故お袋が死んだのか解らなかった。だけど今日虚が現れて分かったんだ。オレのお袋は虚に殺された!!いや…オレが殺したんだ!!オレが霊が見えたから…」
一護は母親が死んだ時の状況を話し、そして今日母親を殺した虚と対峙し逃げられた事を話してくれた
「オレのせいなのに…なんでだよ…なんで笑ってられるんだよ…なんで…誰もオレのこと責めないんだよ…!お袋が死んだときも今も…何も出来なかった…いっそのことメチャメチャに責めてくれたらよかったのに!!」
悲痛な叫びを上げる一護に近づくと、私は一護の手を握りしめた
「何で一護を責めるの?」
「え...」
「誰も責める必要なんて無い……真咲さんが亡くなったのは誰のせいでも無いんだから。確かに状況も立場も違うから私は一護の気持ちは解らない。でも同じ命を護った者として解る…
私は護る事が出来て良かった。あの子の笑顔を護る事が出来て嬉しかった。だから後悔なんてしてないの
これから先、私の分まで笑顔でいてくれるならそれでいい…だからこそ笑っていて欲しい...」
私の目にはいつのまにか、うっすらと涙が浮かんでいた
「命がけで守ったのよ?そんな顔されたら悲しいじゃない…」
微笑んだ次の瞬間、一護は私を抱きしめていた
「…お袋も同じ気持ちでいるのかよ?」
「うん…絶対に」
一護はそうかと呟くと静かに涙を流した
―――――――
暫くして一護はゆっくりと体を離し照れくさそうに笑った
「オレの名前…何か一つのものを、大切なものを護れるようにってお袋がつけてくれたんだ。だからオレ、もっと強くなるから…」
一護はそう言うと、私の唇に触れる位の優しいキスをした
「……///…もう大丈夫だ。ありがとう…」
「……うん…」
一護の長年の気持ちが晴れた様に雨はやみ光が射し込むなか、遠くから私達の姿を見つめる人物がいた事を私は知らなかった