第10章 ~伍半々~NEW3
学校に登校してきた一護に真っ先に挨拶をしたのは織姫だった
織「おはよう黒崎くん!!」
「おうっ!!おはよう井上!!」
笑顔で挨拶を返す一護に、私は微かな違和感を感じた
千「な…何あれどうしたの!?黒崎君やけに機嫌いいじゃない?ねぇ織姫!?」
織「うん、私もびっくりしちゃった」
た「サラ?どうしたのそんな真剣な顔して」
「今日の一護…全然笑ってない」
織「え?黒崎君いつも笑ってるっけ?」
た「千鶴…今日って何日だっけ?」
千「え?6月16日だけど...」
た「サラ、アンタ凄いわ…機嫌良いんじゃないよ。アイツがあんな顔してるときは相当ピリピリしてるとき」
織「たつきちゃん?」
た「大丈夫、理由は分かってるからさ。もし二人に急ぎの用があるなら今日のうちに済ませときな。あいつ…明日休む日だから…」
その日の帰り道、私はたつきに一護の事を聴いた
た「初めて会ったのは4つの時。私の行ってた道場で嘘みたいに派手な髪の色して嘘みたいに綺麗なお母さんに手ェ引かれて嘘みたいにニコニコしながら一護は来た
弱そうでさ、やっぱりスッゲー弱かったんだよね。負けると泣くし。でもあいつ泣いてても迎えに来たお母さんの顔見るとすぐに笑顔になんの」
「一護が…」
た「そう。私それが大嫌いでさ、男が負けたくせにヘラヘラしてんじゃねえってそんなこと思いながらその笑顔見てた。お母さんにベッタリで本当に甘ったれで…
でもすっごい楽しそうなんだ、楽しそうに笑うの。それが最初…」
懐かしそうに話をしていたたつきの顔は急に影をさす
た「9歳の時にね…お母さんが死んだの。一護はお母さんが大好きでベッタリの甘ったれで…でも死んだ
次の日から学校休んで何してんのかと思って捜してみたらお母さんの死んだ川原にいんの
学校のカバン背負って朝から晩までお母さん捜すみたいにウロウロウロウロ…
毎日朝から晩まで…見てらんなかったな…あの時の一護…」
「そうだったの…」
た「だから明日はお母さんの命日で家族で墓参りだから休みってわけ。あんたあんな誰も分かんない変化に気が付くんだもん。私でも気付くのに何年も掛かったのに……サラ?」
無言で目を見開く私にたつきは声を掛けるが私が返事をすることは無かった