第9章 ~伍半~NEW2
"まだ魂を喰われていない"
女の言葉に安心するが、同時に疑問も浮上する
「ちょ…ちょっと待て!!虚ってのは魂を喰う為に人を襲うんじゃなかったのかよ!?それじゃ何のためにウチの連中を…」
「…虚はより霊的濃度の高い魂を求めて彷徨っている。その為に無関係な人間を襲うというのは間々あることだ」
「…どういう…」
「──私は死神が見え鬼道を自力で破る人間など…それ程に霊的濃度の高い魂を持った人間などは今までに見たことも聞いたこともなかった…恐らく奴の狙いは貴様だ!!」
狙われてるのは自分
家族が傷ついた原因は自分
「今回はお前だがお前と同等に霊が見えるという者がいるならばその者も今後狙われる」
その瞬間、サラの顔が脳裏をよぎる
そして大切な者を死なせてしまうのも自分が原因とオレは解釈した
「…ちょっと待てよ…オレを狙って来ただと?それじゃこれはオレのせいだってことか…?
親父がそこで死にかけてんのも夏梨や遊子が血だらけになってんのも…あいつがバケモノに喰われちまうかもしれないのも全部…」
「私は別にそんなつもりで──待て!!」
オレは虚に向かっていき、逆に虚に襲われるが咄嗟に女が間に入り捨て身の攻撃で虚を斬るが彼女の方が深手を負ってしまう
「死神!!」
「この…たわけが…ッ貴様の力では敵わんということは先刻承知済みだろう…!それとも自分の魂さえくれてやれば全て済むとでも思ったか…どちらにしろ、たわけだ…!」
力のある少女が戦えない…それは家族全員の死を意味する
後先考えなかった事にオレは後悔する
「…家族を助けたいか…?」
その時、死神の声が響いた