第3章 ~弐~FRIEND
それから十年余り
サラと修兵はいつも一緒にいて、お互いに欠かせない存在となっていった
そんな関係が当たり前になっていた頃、
修兵は死神になるため、死神を養成する[真央霊術院]の入学試験を受けていた
「...落ちた」
「あら...」
「あら...って慰めの言葉とかないのかよ?」
明らかに不機嫌な修兵に、サラは小さく溜息をつくと、笑みを浮かべて顔を覗く
「元気出して?」
そう言ってサラは修兵の額にキスを落とした
「なっ....!?///」
「おまじない♪これをすると元気が出て頑張れるの」
「なんだ...オレはてっきり...」
一目見た時から目が離せなかった
何故だか心を捉えて離さない
毎日、顔を合わせているのに
こんなに傍にいるのに
こんな距離がもどかしくて....
(〝好き”なんだろうな...一人の女として――――)
着実に少女から女性へと変化していくサラにオレは恋心を抱いていた
「修兵?」
「いや、何でもない...まぁ今回は自分でも早いと思ってたんだ、次頑張るわ」
サラは、安心したように笑う
オレは前から思っていた疑問を尋ねる
「なぁ、サラは何で死神にならないんだ?霊力だってあるのに」
「んー...なりたくない訳じゃないんだけど...まだ今じゃないというか...あるコトが気になってそれどころじゃないというか」
「あるコト?」
「ん....」
歯切れの悪いサラにオレは聞きたい気持ちをグッと抑える
「...まっ、言いたくないんならムリに聞かねぇけどよ、オレはオマエと死神になりたいから」
「修兵....大好き❤」
「ハイハイ」
そう言ってオレはサラの頭をポンポンと撫でた
(今はまだ...このままでいっか...)
サラには気になっている事があった
それは最近、毎日のように見る夢
「....う....ん.....」
声を
我が声を聞け
(...誰?)
御前は知っている筈だ
(知ってる...私が?)
我はいつも御前の傍にいる
我が名を呼べ
いつもそこで途切れ、目が覚める
サラは自然といつも立てかけてある自分の刀である浅打
を見つめていた