第8章 ~伍~NEW
その日の夜中、私は喉の乾きで目が覚めてしまった
下に下りていくと普段は真っ暗な居間から灯りが漏れている
(…喜助さん誰かと話してる?)
私はそっと襖を開けるとその光景に一瞬動きが止まる
「…喜助さんと…夜一…さん?」
猫の夜一さんが喜助さんと話している
私はそのまま二人を見つめていると、視線に気づいたのか喜助さんがこちらを見た
「サラさん…見られちゃいましたねぇ。どうします夜一さん?」
「…誤魔化しても仕方あるまい。サラ、儂はこの通り話す事が出来る…驚いたかの?」
「…すごーい♪夜一さん猫なのに話せるんだ。ならこれから色んなお話出来るね?」
真剣な顔付きだった夜一さんは呆気に取られ喜助さんは笑い転げている
「普通は驚くんだがな」
「だから言ったでしょ?サラさんはそんな子じゃないって」
「そんなって?」
「いやね、今までサラさんに会っても素っ気なかったのは気味悪いって思われるのが嫌だったからなんスよ~?」
「なっξ喜助!!貴様…」
夜一さんは喜助さんを鋭い爪で引っ掻く
「ギャーーー!!!!!」
「あははっ(笑)そんな事思わないよ。私も女の子のお友達が出来て嬉しいもん」
私の一言に二人は顔を見合わせて固まる
「…夜一さんが女性だって言いました?」
「言ってないけど…でもそうでしょう?」
飄々と答える私に夜一さんはフッと笑い、私達から少し間を取る
「本当に…勘がいいというか何というか…儂の真の姿を見せてやろう」
そう言うと猫の形が段々と人形に形を変え、褐色肌で髪の長い女性が姿を現した
猫から人に姿を変えた夜一さんに私は眼を丸くして呟く
「その姿…」
「な…何か覚えておるのか!?」
私の態度に夜一さんは身を乗り出す
「服!!早く服を着ないと!!!」
「…そういう事かυ」
夜一さんは溜め息を付き衣服を着込む
その姿に私は少し俯いた
「…覚えてるって事は私の記憶が無い時に関係があるんですね。ごめんなさい何も覚えてなくて…」
「…悪い事を聞いてしまったのう。じゃがお主は儂にとって妹の様な存在でな、それは今でも変わらん。また仲良くしてくれるか?」
「夜一さん…」
その言葉に私はニッコリと笑って頷いた