第8章 ~伍~NEW
「――おいっ待てよ!!!」
突然の後ろからの声に私は驚いた様子で振り向く
「あっ…えと、黒崎君?」
「…途中まで送ってく」
「いいよまだそんな暗くないし…」
「送んないと親父うるせぇし」
「…じゃあお願いします?」
「ああ…遊子の事あんがとな?」
「それさっき聞いたよ?」
「そうだったな…」
そう言うと黒崎君はそれっきり黙ってしまった
暫くして私は気になっていたことを口にした
「ねぇその髪…」
「地毛だけど?」
黒崎君は眉間に皺を寄せながら面倒臭そうに答えた
「へぇそうなんだ」
「お前…これが地毛だって思ってんのか?」
「え?だってそうなんでしょ?」
「そうだけど…普通染めてるって思わないか?オレンジの地毛なんて変だろ」
「変…かしら?とても綺麗だと思うけど…」
サラの言葉に一護は目を丸くする
「綺麗?」
「えぇ綺麗。朝焼けの色だわ」
そう言って眩しそうに一護の髪に触れるサラに一護は少し笑みを見せた
「やっと目見てくれた♪」
「え?」
「ずっと逸らすんだもん…初めて会ったのに嫌われたかと思っちゃった」
「そっそんな事!!」
「うん、だから嬉しいな。こうしてちゃんと目を見て話してくれるのが…あっもうここでいいよ。ありがとう黒崎君」
「…一護でいい」
「え?」
「黒崎だと家族皆黒崎だからな…」
「そっか…」
サラは微笑むとその場から走り去っていく
一護も帰ろうと踵を返すと、自分の名前を呼ばれ振り返る
「一護!!」
「――――?」
「メリークリスマス♪」
サラは手を振りながらとびきりの笑顔を見せその場を去っていった