第8章 ~伍~NEW
それからサラに話を聞くと、覚えていたのは名前と生前の記憶だけで死神の時の記憶はまるで無かった
当然の如くサラは喜助の元で世話になる事になる
最初は記憶の無さと現世での生活に戸惑い暗かったが、親身な喜助達に段々と明るさを取り戻す
一年後には笑顔の絶えない以前のサラの様に戻っていたが記憶は依然として戻らない
「おはようございます喜助さん、テッサイさん♪朝ごはん出来てますよ」
サラはこの生活に慣れてきた頃から家事を手伝う様になり今ではテッサイを凌ぐ程に上達していた
他にも家事だけでは空き足らず店の手伝いもしていた
「…本当にサラさんはよく働きますねぇ」
「私は居候の身ですから♪それに楽しいんですよ?」
「…アナタは居候じゃないッスよ?私達の家族です」
「喜助さん…ありがとう♪」
サラは満面の笑みを喜助に向ける
「………サラさ―」
喜助がサラに抱きつこうと飛びかかると突然腹に蹴りが入る
ジ「朝から何やってんだエロ店主!!」
雨「…おはようサラちゃん」
「おはようジン太、雨。ご飯出来てるよ~」
「ジン太酷いじゃないッスか!?私なりの愛情表現なのに…」
ジ「いちいちうっとうしいんだよっ!!」
「じゃあこれも?」
サラはジン太を後ろから抱きしめる
ジ「なっ///サラ離れろよっ!!!///」
「離して欲しかったら喧嘩してないで早くご飯食べちゃってね?」
ジ「わかった!!わかったから///」
サラは真っ赤になっているジン太にクスクス笑うと体を離した
「ほぅ…何と効果的な!!次からは私もジン太殿を叱る時はこれでいきますぞ!!」
鉄裁の決意に顔が青ざめるジン太
その光景をみて笑うサラに喜助は穏やかな笑みを浮かべた
喜(ここに来て一年。本当によく笑う様になった…一時はどうなるかと思ったが本当に良かった)
「喜助さん食べないんですか?」
「そうっスね。折角のサラさんの料理が冷めちゃう!!」
こうして平和な日常が当たり前の様に過ぎていった
これからそんな平和な日常を揺るがす人物に出会う事をサラはまだ知らない…