第8章 ~伍~NEW
〝浦原殿”そう呼ばれた店主こそ浦原喜助
喜助は追放後、現世にて浦原商店という雑貨屋を営む傍ら、裏では現世に来る死神に霊的商品を売って生活をしていた
「テッサイさん…どうですか様子は」
結界の中で横たわる女性を前に鉄裁は神妙な顔を崩さない
「まだ何とも…私が発見した時にはもう虫の息でしたからな…後は本人の気力次第といったところかと」
「そうっスか...だが何故こんな怪我を…」
「刀傷ですな。何者かに斬られ逃げてきたというところか」
雨「あの…お湯の用意出来ました」
「ありがとう雨。この人を綺麗にしてあげてくれるかい?いつまでも血だらけじゃ可哀想だから」
雨「わかりました」
「じゃテッサイさん、後はお願いします。私はこの人の義骸を造ってきます。義骸に入った方が魂魄の回復が早いッスから」
「頼みます浦原殿」
この時喜助はまだ気付いていなかった
この女性が自分が昔大切にしていた少女だって事に……
―――――――
24時間後、義骸が出来上がり着せようとした時の事
「出来たのですか」
「えぇ、美人さんなんで造るの苦労したッスよ~。早速着せましょうか……!?」
「どうかしたのですかな浦原殿?…浦原殿?」
動きが止まり返事をしない喜助に鉄菱は疑問に思い、喜助の目線の先を追う
「…その首飾りがどうかしたのですかな?」
「そ…そんなまさか…こんな偶然ある筈が…!!!」
ここに運ばれて来た時は血まみれで気付かなかったが、その女性の首には首飾りがしてあった
細い金鎖に鶯色の石を通してある華奢な首飾り―――
紛れもなく昔、自分が一人の少女にあげた自分とを繋ぐ唯一の物
この女性はまさか…
「サラ......なのか....?」
喜助は驚きを隠せないまま暫く動く事が出来なかった