第7章 ~柶半~CHANGE2
私は運が良いのか現世へと辿り着いていた
だがもはや気力だけで歩く事すら儘ならない
そんな命を縮める行為をしてまで現世に来た理由―――
元の場所に還る
私が向かったのは初めて死んだ場所
私はどうせ死ぬならあのまま暗く冷たい回廊で死ぬより、人間として死んだ場所で死にたいと思った
そこに在るのは大きな河原
時代の流れで見た目こそ変わっているが紛れもなく過去に自分が昔死んだ場所だった
私の亡骸は此処に有る
今の私は魂魄
器と心は一緒に居なくては――
私は目的を果たせたのをきっかけに、身体の力が抜け、川辺りに崩れ落ちた
もう治癒霊力でも治せない
あの力も…
月華―――
一人にしないと約束したのに
約束破ってごめんなさい
貴方は自分で主を探せるから
墓場なんかに連れて来れなかった
今まで一緒にいてくれて
本当にありがとう―――――
視界が霞んでいくなか、最後に私の眼に最後に映ったのは
とても大きな満月だった