第7章 ~柶半~CHANGE2
「ハルカ隊長…」
「あ…天貝さん!?」
突然いつもの天貝さんの声に私は動きを止めた
天貝さんはフラフラになりながらもフッと笑みを浮かべた
「すいませんねぇ…取り込まれるなんて不甲斐ねぇ…お願いだ、俺が抑えてる間に…俺を斬れ」
「そ…そんな…出来ません!!」
「おいぉぃ…零番隊の隊長が何を言ってんの。早く俺を殺すんだ!!…言ってくれたろ?支えになる…護るって。だから俺が自分を保ってる間に護ってくれ…」
その言葉にサラは海燕の言葉を思い出した
【おかげで心は此処に置いていける】
サラはギュッ目を閉じると、ゆっくりと天貝を見据えた
もうそこには迷いもなく、澄んだ真っ直ぐな瞳に天貝も口端を上げた
「それが貴方を救う事になるんですね…」
「ああ...そうだ」
天貝さんが頷くと私は鞘を握り締め、天貝に刃を突き立てた
《小娘…貴様ーー!!!!!》
虚は叫びながら天貝の身体からずり落ち砂となって跡形も無くなった
「これで…良かったんですよね?」
「あぁ…それでこそ俺の上司だ…」
天貝さんは笑うと、体から力が抜け刃に支えられる形になる
私はそれを確認すると、そっと刀を抜こうとした
その瞬間―――
「そこまでだ!!ハルカサラ!!!!」
「――――!?」
声が聴こえたと同時に私の回りに次々と人が現れ囲まれる
「警邏隊…それに二番隊、砕蜂隊長…」
「この状況はなんだ?答えろ零番隊隊長ハルカサラ」
「…………」
「何故黙っている!?まぁ言い訳した所で状況は変わらねがな…」
「それは…――」
「サラ!!!」
私が口を開こうとしたのと同時に、一足遅れてある人物が私の名を呼んだ
「――冬獅郎…乱菊……」