第7章 ~柶半~CHANGE2
「…此処に運ばれた時にはもう…」
私はゆっくりと歩を進める
そこには血だらけで横たわる青白い藤丸とまつ梨がいた
私はそっと藤丸の頬に触れる
「冷たい…もう…眼を開ける事は無いんですね…」
「…せめてものと思い貴女が来るまで運ばれた時のままにしてあります。辛いと思いますが見て何か解りますか?」
私はその痛々しい二人の身体を見詰める
二人共何か鋭いモノに身体を深く切り裂かれていた
「…この擦過傷は…刀傷ですか!?」
「やはり貴女も同じ見解ですか…」
「でも刀傷だとしたら二人を斬ったのは…!!!」
「えぇ…死神の誰かという事になりますね。今二番隊の警邏隊が主となり調査しています。私もこれから二人を検分しなければなりません」
「そう...ですか…」
私は震える手で二人の冷たくなった手を取り握りしめる
「藤丸…まつ梨...」
貴方達を護ると約束したのに…
「ごめんなさい.....」
そして二人の手を胸元で組まそうとした時、ある事に気がつく
「…烈さん、片方の手だけ硬直する事なんてありませんよね…」
「どういう事です?」
烈さんが近寄ると私は藤丸の左手を見せる
その手は固く握り締められていた
二人は顔を見合せ頷くと、左手を無理矢理こじ開けた
すると中から何かがヒラヒラと落ちる
「これは…何かの花弁ですか?」
拾い上げた烈さんは見解を求めようと私を見るが、私は硬直し、みるみる顔が青ざめていく
「サラ!?」
「ひ…向日葵…」
そう…サラはその花弁が向日葵と確信があった
長年に渡り自分に贈られ続けたその花を間違える筈もなかった
「どうして…藤丸が...」
もしこれが自分に贈られた物と同じなら…
二人は私の代わりに殺された!?
もしそうだとしたら―――!!!
「烈さん…他の零番隊の皆は…」
「...地獄蝶で伝令したのですが此処に来たのは、貴女だけです」
「――――――!!!」
私は眼を見開くと、凄い勢いで詰所を飛び出した
皆が危ない―――
(天貝さん…貴船さん…真樹!!!お願いっ無事でいて!!!!!)
私は不安と恐怖を胸に何処に居るのかも解らない部下を捜すのだった