第6章 ~柶~CHANGE
「今戻った……?」
見渡すがサラの姿が無い。机を見ると大量にあった書類が全て終らせてある
「これを全て一人で…」
ふと部屋の隅に目をやると、サラがソファーに横たわり、寝息を立てていた
白哉は起こそうと歩み寄りサラを覗くと、少し目を見開き言葉を失った
長い睫毛
雪の様に白い肌
少し開いた桃色の唇
眠っているサラはまるで人形の様に美しかった
「サラ…」
白哉はサラの頬にそっと触れ名前を呼ぶが、呼んでも起きる様子は全く無い
「美しい…――」
白哉は呟いたかと思うと、そのままそっと自身の唇を重ねた
「…ん……」
どれくらいそうしていただろうか
不意にサラの身じろぐ声をきっかけに、白夜は唇を離し自分の隊長羽織を肩口から被せた
――――――
暫くして目覚めた私は、体を起こした
私の体には<六>の隊長羽織がかかっている
「ん...これ...」
「起きたか」
「ごめんなさい白哉。仕事中なのに寝ちゃって…」
「構わぬ。これだけの書類を終らせたのだ。疲れても仕方ない…」
「あの、この羽織掛けてくれたのでしょう?ありがとう」
私は白哉に微笑みながら羽織を渡す
「あぁ…もう定時故帰るといい。今日は助かった、礼を言う」
「う…うん。じゃあ帰るわね?お疲れ様白哉♪」
そう言ってサラが執務室を出ていったのを確認すると、私は羽織を羽織る
刹那、ふわりと甘い香りが鼻先を擽った
(サラの香り…)
そう感じた瞬間、自分の心臓が一瞬高鳴るのを感じる
私はどうしたというのだ
緋真…
どうすればいい
私はまた人を愛してもいいのだろうか――――
白哉は自身の羽織をギュッと握りしめ、固く目を閉じた