第2章 ~壱~MEET
そっと自分の顔にも手を触れてみる
その瞬間、背筋がゾクッと震えた
「何や...これ...虚やとっっ!?」
自分を含め、虚の仮面がみるみる顔を覆っていく
平子は苦しさのあまり、地面に崩れた
そこへある人物がゆっくりと自分へ向かって歩いてくる
平子は唇を噛みしめそれを睨んだ
「...クッ..藍染...やっぱオマエやったか」
平子率いる五番隊の副官である藍染惣右介、彼が盲目の男と子供を連れて微笑みながら自分の前で足を止めた
「さすが我が隊長...気付かれてしまいましたか」
「どうして裏切った!?何故、虚化させる必要があんのや!?」
「全ては高みを目指すため...本当に恐ろしいのは目に見えぬ裏切りですよ?...貴方達は素晴らしい材料だった」
藍染の斬魄刀が降り翳された瞬間、黒い影が現れ、藍染は動きを止める
「き...喜助...何で....来たんや...アホが」
「....なんスかその趣味の悪い仮面は」
「くっ....言ってくれるやんけ」
汗を流しながら必死に意識を保っている平子は喜助に笑みを浮かべる
その様子に喜助は藍染に冷たい目を向ける
「藍染副隊長...」
「はい」
「ココでなにを?」
「何も。ご覧の通り、偶然にも負傷した方々を発見し救助を試みていたたけです」
「...何故ウソをつくんすか」
「嘘?副隊長が隊長を助けようとすることに何か問題が?」
「違う、引っかかってるのはソコじゃない...負傷?バカいっちゃいけない...これは虚化だ!!」
その言葉が沈然と響き、藍染は口端を持ち上げた
「成程...やはり君は思った通りの男だ」
藍染の纏う空気と霊圧が変わった
ベッタリと張り付くようなイヤな霊圧
藍染は変わらず笑みを張り付けている
「今夜此処へ来てくれて良かった。退くよ要、ギン」
何事もなかったかのように去ろうとする藍染を止めようと、喜助が動こうとした瞬間、
「破道の八十八[飛竜撃賊震点雷炮]!!!」
今まで黙っていた鉄菱が巨大な霊撃を放つ
「縛道の八十一[断空]」
そのすさまじい攻撃を副官にも関わらず、いとも簡単に霊壁で防御した藍染は闇へと消えていった