第5章 ~参半~BE LOVED2
西修練場屋根
「…もう少し温かくしてくれば良かったな…」
冷たい風が頬に当たり、身震いをすると見慣れた者達の姿が目に映った
「あ、来た来た隊長ー♪」
冬「サラに松本…何だ、雛森と藍染も居るのか?」
桃「コラ日番谷君!!"藍染隊長"でしょ!?」
冬「雛森...オマエこそ"日番谷隊長"だろが。で、何でオマエらがココに...」
桃「サラちゃんが誘ってくれたの。他にも連れてきていいよって言うから藍染隊長も誘って来ちゃった♪」
冬「話が見えねぇんだが…こんな所に呼び出して何の用だ」
桃「やだなぁ誕生日でしょ?あ、ほら…」
すると大きな爆発音と共に空に満開の花が咲く
冬「え……?」
「冬の花火もいいものでしょ?」
サラがニコッと笑いかける
乱「…これサラが考えたんですよ隊長。雪でも降ってたらもっと最高でしょうね~♪」
冬「……それじゃ寒みぃよバカ野郎…」
藍染も桃も、同じ様に空を見上げ、光の花を見つめていた
桃「さすがサラちゃん!!」
藍「あぁ、とても綺麗だね。そしておめでとう日番谷君」
冬「別に…。…流魂街出身のオレらにとっちゃ誕生日なんて有って無いようなもんスよ。貴族みたく瀞霊廷で生まれてりゃ違うだろうけど…」
その言葉に乱菊・桃は黙ってしまい、藍染は困ったように笑った。
サラは少し黙ると、自分のしていた首巻きを冬獅郎の首に巻きながら口を開いた
「…冬獅郎みたいに考える人もいるだろうけどきっとそれは皆同じかもしれない。"自分の生まれてきた日が何時か"なんて覚えてる人はいない。
ただ自分の信頼する人が告げた日をそのまま信じるしかないのよ」
サラは巻き終わった手を、冬獅郎の頬に添える
「本当かどうかは問題じゃない、"自分の誕生日を知っている"…それ自体が既に幸せなんじゃないかって…
だから…おめでとう冬獅郎」
にっこりと笑うサラに冬獅郎は泣きそうになり、それを隠す為かサラの肩に顔を埋めた
「ありがとう藍染‥雛森‥松本‥」
……ありがとうサラ―――
「うん…」
互いに呟いた言葉は白い息となって消えていくなか、
サラは優しく冬獅郎を抱きしめた