第5章 ~参半~BE LOVED2
「私なんかにお気を使って頂いて…有り難う御座います」
「いや、雛森君も君と仕事をしたがっているしね。では僕はそろそろ失礼するよ。またねハルカ君」
藍染隊長は私の頭をポンと撫でると回廊を後にした
―――――――
それから私はその書物を読んでみるのだが、かなり内容が難しく溜め息をついた
「ふぅ…論文ってなんでこんなに難しいのかしら。それでなくても解りにくい内容なのに」
何気なく既読記録を見ると今までに二人しか読んでない事が分かる
「やっぱり…」
その書物は魂魄の強化についての論文で、興味でもない限り決して読まれる事はない代物だった
私がその本について考えていると急に司書の人から声がかかる
「あの~そろそろ閉館時間ですが…」
「あっすみません。すぐ出ますね」
「あら?その本は…」
私がその本を返そうと立ち上がると、司書がそれを見て呟いた
「知ってるんですか?」
「そんなの借りる人なんて中々いませんからね」
「借りたんですか?珍しい人もいるんですね(笑)」
「えぇ今は隊長に。藍染隊長は昔から博識があって…」
「……藍染隊長?」
「はい。記録みました?二人のうちの一人が藍染隊長です」
「...もう一つの記録が誰か分かります?」
「いえ、偶々借りた時に私が担当したのでもう一つまでは…」
―――――――
私は帰り道にさっきの出来事を思いかえしていた
読もうとも思わない―――
何故嘘をつく必要が?
藍染隊長……
その嘘に何か意味があるのですか?
その後、幾度となく藍染隊長と出会うが、柔和で温厚な態度でいつもと同じ笑顔を見せる隊長に、私の疑問は段々と薄れていった