桜の葉が舞い散る季節、貴方の傍に居られたら… 【気象系】
第2章 A
あの人は一学年上の先輩で、二年生でありながら生徒会長に抜擢される程の人だった。
成績も優秀で、成績は常に学年トップ。
スポーツだって万能。
生徒会長の責務を負っていなければ、サッカー部の主将は間違いなくあの人だったと思う。
育ちの良さからなのか、物腰も柔らかく、人望だって厚くて、外見だって“最高評価の星五つ”…つまり、非の打ち所のない完璧な人。
一方、俺はと言うと…
学校なんてのは“遊び場”程度にしか考えてはいなかった。
そもそも、勉強なんて大っ嫌いだったし…
まあ、親がどうしても…って言うから仕方なく進学を決めた、って感じだった。
将来の為って言うなら、手っ取り早く就職を決めた方が、よっぽど自分の為にはなるんじゃないか、とも思ったんだけどね?
でも、そんな俺の甘っちょろい考えを、180度変えさせたのが、あの人の存在だった。
あの人のようになりたい。
憧れだった。
そう…
ただの憧れ…
思春期には良くありがちな感情。
そう思っていた。
あの人に恋人がいると知った瞬間までは…
ずっと…
あの人の瞳に映る彼の存在に気づいた瞬間、俺のあの人に対する感情は“憧れ”ではなく、“恋心“だったんだと…その時になって漸く知ったんだ。