桜の葉が舞い散る季節、貴方の傍に居られたら… 【気象系】
第6章 A.
「実家に行く前に、寄りたい所がある」
そう言われて、ニノに連れて来られたのは、病院だった。
「俺、どっこも悪くないけど?」
そう、俺は至って健康体そのもので、ここ数年は病院のお世話になったことすらない。
それなのに、何故?
「あのさぁ、相葉さんみたいな人が病気に見えます? どっからどう見たって、建康そのものでしょうが…」
褒められてんのか、それとも貶されてんのか…
まあ、どっちでもいい。
「じゃあ、誰が…って、翔さん?」
ニノが、“決まってるでしょ”と言わんばかりに溜息を一つ零した。
「いや、でもさ、保険証とかもないし、金だって俺そんな持ってないけど…」
頭の中に、財布の中身を思い浮かべてみるけど…
いやいや、絶対無理だ。
保険証もないのに病院なんかかかったら、いくら取られることか、分かりゃしない。
仮に払えたとして、その後の生活を考えると…
やっぱ無理!
「分かってますって、相葉さんの懐事情くらい。いや、たまたまね、ここで知り合いが働いてんですよ。昨日、ずっと翔さんと一緒にいたでしょ? で、ちょっと思ったことがあって…。
んで、翔さんのこと話したら、診察は出来ないけど、話を聞くくらいはしてやる、って言ってくれたんですよ」
なんだ、そうゆうことか…
俺はホッと胸を撫で下ろした。
しかし、ニノの奴…
何だかんだ言っても、顔が広いんだよな。