桜の葉が舞い散る季節、貴方の傍に居られたら… 【気象系】
第5章 R
翔さんが落ち着いて来た頃、インターホンが鳴った。
きっとニノだ。
「開いてるから、入ってきて?」
俺は翔さんを抱きしめたまま、玄関に向かって声を上げた。
「誰か来るの?」
怯えた目が俺を見上げる。
「俺の友達です。怖くないから、安心して?」
俺の腕の中で、翔さんが小さく頷いた。
「相葉さ〜ん? どこ? ってか、何なのコレ…」
ニノが驚くのも無理ないか…
なんたって部屋ん中、パラダイス状態なんだから。
「ニノ、こっちこっち…」
「こんな所にいたんですか?」
床の物を足で蹴散らしながら、物置部屋の入り口から顔を出した。
「それより…これ、どうしたんです? まさか、泥棒…?」
「違う違う、そんなんじゃないんだ」
まあ、この状況じゃ、そう思うのも当然っちゃ当然
なんだけどさ。
「そ? ならいいんだけど…。それにしても酷いね…」
「うん。俺も帰って来てビックリした…」
部屋間違えたかと思ったくらいね?
「で、その人が…?」
ニノの視線が翔さんに移る。
「ん? ああ、そうなんだ。ニノも覚えてるでしょ?」
俺は翔さんに“ゴメンね”と断りを入れてから、顔の半分を覆う前髪を搔き上げた。
「あっ…先…輩…?」
ニノが驚いた様子で目を見開いた。