桜の葉が舞い散る季節、貴方の傍に居られたら… 【気象系】
第3章 K
ふざけているのか、それとも本当に分かっていないのか…
疑いながらも、俺は濡れてしまったスウェットを脱いだ。
伸び放題で絡まった髪をシャンプーで洗い、ボディーソープをたっぷりと含ませた垢すりタオルで身体を洗った。
最後に顔の半分を覆う髭を剃ってやった。
その間もずっと、櫻井翔”もどき”はじっと大人しく、声一つ発することはなかった。
身体が温まって来たことを確認して、俺達は風呂場を出た。
バスタオルで火照った身体を拭いてやると、モジモジと膝を擦り合わせ始めた櫻井翔“もどき”。
もしかして…?
「ちょっと待って、トイレはコッチ…!」
裸のまま、向かいのトイレに押しやる。
便座に座らせ、ドアを閉めた。
何なの、コレ…
何かのドッキリ?
だったら超タチが悪いんだけど…
俺はガックリと肩を落とし、溜息をまた一つ落とした。
「終わりました?」
そっとドアを開け、声をかける。
トイレはちゃんと?出来たみたいだ。
俺はホッと胸を撫で下ろした。
トイレから出てきた櫻井翔“もどき”に服を着せ、ドライヤーで髪を乾かしてから、俺は漸く遅めの晩飯にありついた。
朝飯用にと二つ買った弁当の一つは、櫻井翔“もどき”の物になった。