桜の葉が舞い散る季節、貴方の傍に居られたら… 【気象系】
第3章 K
まさか…ねぇ…?
「あの〜、ちょっと開けますよ?」
俺は思い切って風呂場のガラス戸を開けた。
えっ…?
「ちょ、ちょっと、何してんですか!」
頭上から降り付けるシャワーの下、櫻井翔“もどき”はただ呆然と立ち尽くしていた。
…くたびれたスーツを見に纏ったままで…
俺は自分の服が濡れるのも構わず、風呂場に飛び込むと、櫻井翔“もどき”の腕を引いた。
「…はあ? コレ水じゃんか!」
勢い良く降り付けるシャワーが服に染み込み、俺の体温をどんどん奪って行く。
「ちょっと、あんた何してんだよ! こっち来いって…」
櫻井翔“もどき”の腕を引き、一人焦る俺を横目に、櫻井翔“もどき”がニッコリと笑う。
「笑ってる場合じゃないんだってば…。ああ、もうっ…!」
俺は仕方なくシャワーの温度を上げると、櫻井翔“もどき”の身体を包むくたびれでスーツを、次々と引っ剥がしていった。
途端に風呂場に湯気が立ち上り、徐々に体温を取り戻していく櫻井翔“もどき”の頬にも、色が戻り始めた。
その時になって、漸く俺の中で羞恥心が芽生え始める。
俺…“もどき”とは言え、翔さんになんて事を…
立ち込める湯気のなか、あれ程恋焦がれた翔さん(厳密には“もどき”だか…)が、裸で立っていた。