桜の葉が舞い散る季節、貴方の傍に居られたら… 【気象系】
第14章 SAKURABA
「相葉君、だよね?」
翔さんが愛して止まなかったその人の顔を見るのが辛くて、俺は後ろを振り返ることなく、小さく頷いた。
「ずっと翔の傍にいてくれたんだってね? 最期の時も…。ありがとう。アイツ、ああ見えて寂しがり屋だから、君が傍にいてくれて、安心しただろうね?」
どうして?
どうしてそんな事が言えるの?
俺は翔さんに何もして上げてないのに…
「俺は何も…」
「ねぇ…、翔に会わずに帰るつもりだったの? 翔、きっと君が会いに来るのを、ずっと待ってたと思うよ? 」
嘘だ…
翔さんが俺を待ってる筈ない…
俺は拳をギュッと握った。
「俺じゃないですから…。翔さんが待ってたのは、俺じゃないですから…」
気付けば、俺の頬を汗と一緒に涙が伝っていた。
「どうして? どうしてそう思うの?」
だって翔さんが本当に会いたかったのは…
「翔さん、ずっとあなたのこと待ってたんです。あなたが迎えに来てくれるのを、ずっと…」
翔さんの目も耳も、いつだってあなたを探して彷徨ってたのを、俺は知ってるから…
「ごめんなさい、俺帰ります」
目に溜まった涙を、ギュッと握った拳で拭うと、俺は足を踏み出した。
「それは違うよ? 翔が本当に会いたがってるのは、君なんじゃない? 俺はそう思うけど?」
その言葉に、俺の足がまた止まった。