桜の葉が舞い散る季節、貴方の傍に居られたら… 【気象系】
第13章 AIBA
ニノからの電話を切った後、暫くはその場から動くことが出来ずにいた。
それでも何とか重い腰を上げ、寝室に戻ると、翔さんは穏やかな寝息を立てて眠っていた。
良かった、生きてる…
安堵と一緒に、やり切れない罪の意識がこみ上げて来る。
罪悪感に押しつぶされそうな感情を振り払おうと、俺は部屋の片付けを始めた。
窓を開け放ち、新鮮な空気を取り込んだ。
澱んだ空気が窓の外に流れ出し、代わりに澄んだ空気が部屋の中に溢れた。
部屋のアチコチに散らばるゴミを袋に纏め、アパートのゴミ捨て場に運んだ。
何度も何度も繰り返した。
一つずつ、いつの間にか俺の胸に蓄積した闇も一緒に捨てるように…
結局部屋の中が片付くことはなかったけど、それでも胸の中に積もっていたモノを捨てた分、心だけは少し軽くなったような気がした。
「あ、洗濯もしないと…」
洗面所に向かい、山になった洗濯物を、選別することなく、手当たり次第に洗濯機に放り込み、洗剤と柔軟剤を多めに入れ、スイッチを押した。
そうだ、風呂…
ここ数日、シャワーを浴びることはあっても、ゆっくり湯に浸かってない。
洗濯機を回している時間を使って、俺は風呂の掃除を始めた。
とは言っても、浴槽を簡単に磨いただけだけど…