第15章 落涙
ふと視線をずらすと中村さんの後ろに人影を見つける。
目を細めて見つめれば、月島さんと目が合う。
少し驚きはするものの意外と冷静な自分。
「主役のご登場ですね。」
足を交差させて、腕を後ろで組んで顔を横に傾けながら月島さんを見つめる。
そうすれば、3人がポツリと言葉を発する。
「あやめ…」
「あやめちゃん…」
「あやめさん…」
中村さん、入野さん、岡本さんの視線が集まる。
『他に想ってる人がいるんじゃない?』
ユキの言葉が脳裏をよぎる。
もし、岡本さんを好きじゃないから私に返して下さい。
あなたがはっきりしないなら、お手伝いしますよ先輩?
ねぇ?
聞かせて下さいよ。
「月島さんは、誰が好きなんですか?」