第3章 憧憬
「おはようございます。」
声のする方を振り向けば、小さな女のコ。
「あー。水澤ちゃん。おはよう。」
「可愛い声が聞こえたから、誰かと思ったよ。」
軽く微笑めば、嬉しそうにニッコリ笑う。
「今日もよろしくお願いします!」
「元気だね~。」
「元気だけが取り柄なので。」
「またまた~。まぁ、無理しない程度に頑張りなよ。」
ここの所、やたらと声を掛けてくるコ。
別に懐かれるのは嫌いじゃないけど。
「あ。そうだ。」
「水買ってから行くから、先に行ってて。」
「分かりました。先に行ってますね。」
そう言って、廊下の先に消えた。
見えなくなるのを確認して、バックからミネラルウォーターを取り出し一口飲み込む。
息を大きく吸い込み、ゆっくり吐き出す。
「………さて。行こうか。」
もう一口飲み込み、再びバックに戻した。