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逢ふことの(裏)~声優さんと一緒~

第13章 百態



「岡本さん。おはようございます。」

「はぁ…おはよう。」

「ため息つかないで下さいよ…。」

本当に泣きたくなる。

胸が苦しい。

下を向く事しか出来ない自分が情けない。

いつもは、もっと強気でいられるのに。

岡本さんの前で出来ない……。


「あのさ。前も言ったけど…あんまり話し掛けないで欲しいかな。」

絶対に迷惑がられてる。

鼻の奥が痛い。

でも……

引き下がりたくない。


「何でですか…少し前までは、手だって繋いでくれたじゃないですか…」

情けない顔してるんだろうな。

目頭が熱くなる。

かなり背伸びして、岡本さんの腕を掴む。

「あんまり女のコにキツいこと言いたくは無いんだけど…。あのね?」


今度は、何て言われるんだろう。

まだ耐えられるかな……。


「あれー?修羅場?」

手を離して、声のする方を振り返る。

「中村さん…」

「現場では、あんまりしない方がいいと思うよ?」

「違いますって。このコとは何とも…」

「まぁ、何でもいいけど早く行ったら?」

「そろそろ時間じゃない?」

腕時計の文字盤をトントンと叩く。

「わっ!いけない!岡本さん!行きましょう!」

「先に行って…。」

何とも思われないどころか嫌われてる?

でも……

貴方の頭の片隅に居られるなら……

それでも十分。

涙が溢れないように、歩きながら天井を眺めた。
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