第9章 愉楽
あれから何度か顔を合わせても達央さんは、今までと同じ態度。
あれは夢だったんじゃないかと思う。
「お疲れさまでした。」
「………。」
そっちがそう言う態度なら、こっちだって。
マネージャーの車のドアを閉めると声を掛けられる。
「『京都のイベント』に参加することになったからな?」
「え!?京都?」
「中学の修学旅行以来だな~楽しみ。」
「仕事だからな。それだけは忘れるな。」
「はいはい。」
「『はい』は、1回!」
「はーい。」
「ったく……。」
スマホを取り出し、早速京都の情報を集める。
「日本酒飲めるかな~♪」
鼻歌を歌いながら、画面をなぞった。