第75章 斜眼
ウィンドウを少し開けて夜風に当たる。
日中に熱せられたアスファルト。
そこを抜ける風は熱をはらむ。
街頭の光の間を車を進める。
「もう少ししたら日差しもキツくなりますね。」
「そうだね。」
「でも日中は移動の時くらいしか日に当たらないし。」
「気温とか実感はあまりないよね。」
「日菜乃ちゃんは明日は仕事?」
「明日は、16時にスタジオ入りです。」
「信彦さんは?」
「明日は午後から取材が入ってるんだ。」
「だからゆっくりかな。」
「それじゃあ、一緒にいられますね。」
視線を外に向けたまま車内に流れる曲にのせてうんうんと頷く。
無意識に言ってるのかな。
こう言うとこ。
不意打ちだから対応しきれないんだよな。