第59章 花莚
「もしもし?岡本くん?」
「日菜乃は家で預かってますから。」
「あの子が落ち着くまで、そっとして置いてくれないかしら?」
「岡本くんも分かってると思うけど。」
「あの子思い詰めると余裕無くなるから。」
「今は頭も心も整理する時間が必要なのよ。」
「とりあえず無事だから、そこは安心して。」
「一応岡本くんに言われたことは伝えたけど…」
「それに対する答えは…。」
「貴方もツラいと思うけど、少し時間をあげて。」
「えぇ。何かあったら連絡するから。」
「はいはい。こっちは任せて。」
「じゃあ、また。」
日菜乃?
こんなに想われるなんて幸せな事じゃない。
それでも受け入れきれないのは貴女の中に別の何かがあるからでしょう?
でも私にはそれに口を出す権利は無いから。
見守ることと安らげる場所を提供することくらいしか出来ない。
私はやっぱり頼りないのかしら。
情けなくて。
情けなくて。
あの子の力になれればいいのに。