第58章 点綴
「急に連絡してすみません。」
「今お時間大丈夫ですか?」
「ありがとうございます。」
「あの…日菜乃ちゃんから連絡来てないですか?」
「そうですか…」
「えっと…さっき揉めてしまって。」
「家を飛び出して…」
「どこ探してもいないんです。」
「スマホしか持ってないので近くにいるのかと思うんです。」
「電話を掛けても一向に出なくて。」
「日菜乃ちゃんが頼れる人なんて…他に知らなくて…」
「はい……もし、連絡があったら…話だけでもいいんです。」
「聞いてあげてください。」
「ボクに会いたくないなら…ホテル住みでも何でもするから…家に帰ってほしいって…」
「話したくないなら、誰かを経由してでも構わないんです。」
「日菜乃ちゃんが無事だって分かれば、それだけで十分なんです。」
「………はい。すみません…。よろしくお願いします。」
ボクが頼れる人は、この人しかいない。
いつも迷惑ばかり掛けてしまって申し訳ないけど…
ボクを…
いや。
日菜乃ちゃんを救ってください。