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逢ふことの(裏)~声優さんと一緒~

第57章 誹議


手渡されたスマホの画面には『鈴木達央』

「でも」

「出られない理由でもあるの?」

目を細めて私を見つめる。

「ほら。」

「出てよ。」

画面をタップしロックを外し、通話を再度タップする。

「はい…」

耳元に当てられると声が聞こえる。

「ヒナ?」

「急に悪いな……今いいか?」

久しぶりに聞こえる声に鼻の奥がツンとする。

「えっと…そのっ」

空いている方の耳へ耳打ちされる。

「早く話して。」

言い終えると耳たぶを口に含まれた。

「少しなら…っ」

「悪いな。手短に言うよ。」

「さっき櫻井さんから連絡があって。」

「昨日、駅でノブに会ったらしくて。」

「その時に一昨日、俺に送らせたって言ったって。」

「ノブは櫻井さんに送って貰ったと思ってたみたいで…」

「心配してたから…」

「いや…オレも…気になったから電話したんだけど。」

「まぁ、オレが言う必要無いんだけど…」

「ったく………何が言いたいんだか…」

左耳には達央さんの声。

右耳には岡本さんの吐息。

「ヒナ?聞いてるか?」

「あっ…はい…聞いてます。」

「大丈夫です。」

「そうか…大丈夫なら…。」

「急に悪かったよ。それだけだから。」

「じゃあ…また。」

「おやすみ。」

「おやすみなさい。」

スマホを取り上げられ、ソファーに投げられた。

「…………。」

「タツさんって随分お喋りなんだね?」

「日菜乃ちゃん殆ど話してないのに。」

「仕事の話?」

「そうです…」

そう言うと顎をつかまれ横に向けられる。

「聞こえてないと思ってる?」

「まぁ、事実だけど。」

「でもね?」

「何話してたかくらい分かる。」

「嘘つかなくていいんだよ…一昨日の事でしょ?」


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