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逢ふことの(裏)~声優さんと一緒~

第55章 冀望


ベッドに入って、小さなカラダを引き寄せる。

「本当はさ。」

「皆に引き止められたんだ。」

「でも…日菜乃ちゃんに会いたくて帰って来ちゃった。」

驚いたようにボクを見つめる瞳。

「ありがとうございます。」

照れるように俯いて、肩をすくめる仕草に抱き寄せた腕の力を強めた。

「マネージャーにも明日帰ろうって言われたけど、無理言って最終の手配して貰ってさ。」

「迷惑掛けちゃったなー。」

「でも、たまにはいいかな…なんて。」

髪を指に絡めてクルクル回す。

「ねぇ?」

「はい?」

「東京駅でさ…」

「どうかしました?」

眠そうな目でボクを見上げる日菜乃ちゃん。

「あー。やっぱり何でも無い。」

目を見てなんて聞けないよ。

もし…事実だったら…受け止められない。



「日菜乃ちゃん?」

「最近、すれ違いばかりで話せてなかったよね。」

「ボクはキミが好きだし。」

「日菜乃ちゃんもボクを好きでいてくれてるって思ってる。」

「ボクはキミがいないと………ダメみたい。」

髪に口づけ、抱き締めた背中を擦る。

「岡本さん…私も……好きです。」

「こうして、急いで帰って来てくれてありがとうございます。」

胸元に感じる吐息。

「ありがとう。」

「今日はそろそろ寝ようか。」

「明日はどこに行こう。」

「数ヵ月ぶりのデートだから、色んな所に行こうか。」

コクコクッと頷く日菜乃ちゃん。

胸のモヤモヤは消えないけど。

今夜はキミの体温を感じられる喜びを実感しながら眠りにつくよ。

指を絡めて、その指に口付けた。

何度も何度も言い聞かせてる。

そばにいるのはボク。

………こうしてキミの隣にいるのはボクなんだから。

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