第5章 翻然
「日菜乃ちゃん。」
「この間は、ごめんね。」
「え?何ですか?」
「前の収録で差し入れたエクレア…」
「あぁ。大丈夫ですよ。気にしないで下さいよ。」
ニッコリ笑って、ボクを励ます。
「あのね。」
「それで…」
「ちょっとお願いがあるんだけど。」
「?」
顔を傾けボクを見つめる。
「気になるパンケーキ屋さんがあるんだけど。」
「さすがに1人じゃ行けなくて。」
「この間の埋め合わせも兼ねて、一緒に行ってくれると嬉しいんだけど。」
「えっ?」
「ダメ…かな…?」
ブンブンと顔を横に振りながら答えてくれる。
「ご一緒するのが、私で良いんですか?」
「あはは。『で』じゃなくで『が』良いんだ。」
「日菜乃ちゃんが良いんだよ。」
真っ赤になって俯く姿にボクまで顔が熱くなる。