第45章 薄暮
「日菜乃ちゃん…」
「?」
「ボクは日菜乃ちゃんが好きなんだ。」
「それを伝えるために、ここまで来たんだ。」
「ボクの彼女になってくれませんか?」
「……っ」
驚きで声が出ない。
ハワイで岡本さんに会えただけでも夢みたいなのに。
思いも寄らない嬉し過ぎる言葉に息が苦しい。
「信じて貰えないかもしれないけど…」
「ヒドいことを沢山言ってごめん。」
ヒドいことを言わせたのは私ですよ?
アナタに嫌われるような事ばかりしていた。
「それでも、傍にいてくれてありがとう。」
私こそ、傍にいさせてくれてありがとうございます。
「キミの笑顔に救われた。」
私こそ、アナタの笑顔に何度救われたか。
「日菜乃ちゃんに傍にいて欲しい。」
「これからは、ボクが日菜乃ちゃんの力になりたい。」
「ダメかな?」
頬を伝う涙。
「ダメじゃない…です。」
「今さら何言ってるんですか…」
「何年も前から言ってますよ。」
「私は、ずっと岡本さんが好きです。」
「今まで傍にいさせてくれて、ありがとうございます。」
「これからも、傍にいさせて下さい。」
声が震える。
涙が止まらない。
その涙を岡本さんが拭ってくれる。
「日菜乃ちゃん。好きだよ。」
「これからも、よろしくお願いします。」
そっと触れるような口づけ。
聞こえる波の音。
髪を揺らす風。
長い睫毛がくすぐったい。
瞼を開けば、いつの間にか広がる星空。
「あ。星。」
「もう…日菜乃ちゃん…日本じゃ堂々とキスできないんだから…浸らせてよ。」
「すみません…でも…」
「ハワイって、日本人多いですよね…」
「………」
「でも」
もう一度、キスしたい。
抱き締めて欲しい。
「やっぱり、もっと触れて欲しい。」
「わがまま言ってもいいですか?」
「あぁ…もちろん。」
そう言って、今度は深い口づけを交わした。