第45章 薄暮
ビーチに散歩に出かけたとの情報を受けた。
ボクは荷物を部屋に投げ捨て、着替えを済ませビーチに出掛けた。
ビーチに出ると、沢山の人に若干引く。
綺麗な夕焼け…人が集まるよね…。
見渡せば、みんな幸せそう。
この中から日菜乃ちゃんを見つけられるか不安…
キョロキョロしながら、歩くこと数分。
LINEに送られていた服装の女性を発見。
「日菜乃ちゃん。」
無意識に早足になった。
近づくとブツブツ聞こえる独り言。
「次は…岡本さんと来たいな。なんて。」
予想外の言葉にニヤケる口元を隠す。
グッと伸びをする日菜乃ちゃんの後ろに立って声を掛ける。
「僕ならここにいるよ?」
振り返る表情は驚きに満ちていた。
「え…?何で?」
繰り返すまばたき。
「えへへ。来ちゃった♪」
照れ隠しに戯けてみる。
「え?夢?」
「夢じゃないよ。」
背後から抱きしめ、耳元に唇を寄せた。
「やっぱりハワイは良いね。」
「日菜乃ちゃんがハワイの話ばかりするから我慢できなくて来ちゃったよ。」
「もう…行動力あり過ぎですよ。」
今度は、お互い笑い合う。
「ね?日菜乃ちゃん。」
「グリーンフラッシュって知ってる?」
前にハワイに来たときに教えて貰った。
『グリーンフラッシュを見ると幸せになる』
だから、ここに来たんだよ。
ボクの問いに首をかしげて見つめる。
「太陽が水平線や地平線に沈む瞬間にグリーンに輝くんだよ。」
「それを見ると幸せになれるんだって。」
「今日は雲も無いし、空気も澄んでる。見られそうだね。」
「さて。これから一緒に見ようか。」
腰に手を回し引き寄せる。
沈み掛ける太陽を指差す。
夕陽が水平線に沈む一瞬。
グリーンに光った。
周りも歓声に包まれる。
「岡本さん!グリーンフラッシュ!見られましたね!」
嬉しそうに振り返る日菜乃ちゃん。
自然とほころぶよ。
「日菜乃ちゃん。」
「どうしました?見えませんでした?」
「もちろん見えたよ。一緒に見られて嬉しい。」
「私もです!」
「日菜乃ちゃん」
「?」
「ボクは日菜乃ちゃんが好きだよ。」
「それを伝えるために、ここまで来たんだ。」
「ボクの彼女になってくれませんか?」