第39章 錯綜*
深夜の都内を車で走り抜ける。
気分転換に出掛けたつもりが気付けば見慣れたマンションの地下駐車場。
「おいおい…何でここに来てるんだよ…」
我ながら引くな。
停め慣れた駐車場所。
すでに先客がいるようだ。
知ってる車種に眉をひそめる。
「この車…ノブかよ。」
大きな舌打ちの音が車内に響く。
時計を見れば2:00
「冗談…キツいな…」
車を止めて、ハンドルを抱え額を付ける。
「マジかよ…勘弁して欲しいわ。」
発する声は小さくて、情けない。
俺は何しに来たんだよ。
認めたくないけど、さすがに惨めだよな……。
大きな溜息に、より一層情けなさが増す。
突然鳴るクラクション。
ようやく我に返る。
どれくらいここにいるんだろう。
再び大きくため息を付いて、アクセルを踏んだ。
胸の奥をえぐられたようだよ。
この時間にノブの車。
何してんだよ?
見つめられるだけで真っ赤になるヒナ。
お前は、ノブの前ではどんな声を上げる?
どんな風に感じる?
俺の知らないお前。
それを知るのは、他の誰でもないノブ一人だけなんだよな。