第38章 徒花*
グチュグチュと部屋に響く音。
貴方は、こんな風に触れるんだ。
知らなかった。
貴方は、こんなキスをするんだ……。
薄暗い照明でも、相手が誰なのかは分かってる。
私…岡本さんと。
岡本さんの指が私のナカで動いてる。
これは夢じゃないかと何度も何度も頭の中で繰り返す。
「日菜乃ちゃん」
そう呼ばれるだけで、カラダに甘いしびれが広がる。
何回も漏れそうになる声を必死で抑える。
早く繋がりたいって言いそうになる自分を。
沢山の人と関係を持ってる自分を隠したくて。
岡本さんが思ってる私が本当の私じゃなくても構わない。
今日1回だけでも、貴方を感じられるなら十分なの。