第37章 乱脈
唇に何かが触れる感覚にうっすら瞼を開ける。
目の前の光景に一瞬戸惑うもののすぐに理解した。
日菜乃ちゃんにキスされてるんだ。
日菜乃ちゃんの頭の後ろに手を回し、唇を啄んでみる。
ビクッと震え離れようとするカラダ。
逃がさないように腕に力を込める。
「んっ…岡本さっ」
「ん?」
返答しながら、今度は舌をねじ込む。
「やっ…んっっ」
「イヤなの?」
唇を放すと銀糸が二人を結ぶ。
「寝込みを襲われたから、応えただけなんだけど。」
「そのっ…すみません…」
眉を寄せて、小さくなる日菜乃ちゃん。
今にも泣き出しそう。
ボクはこの子としたいのかな。
どうなんだろう。
さっき、『恋愛対象じゃない』って考えたらイライラした。
自分に好意を寄せられてない思ったら、やっぱり欲しくなる。
優越感に浸っていたいのかも。
男としては如何なものかも知れないけど。
勇気を振り絞って、してくれたキス。
それとも我慢出来なかったキス?
どっちにしたって、その行動力を褒めてあげたいね。