第37章 乱脈
「随分良いとこに住んでるんだね?」
タワーマンションに近づき、思わずため息を漏らす。
「事務所の意向でして。セキュリティの問題でここなんです。」
「ふーん。」
返答すると同時にくしゃみが出る。
「岡本さん!大丈夫ですか?」
「風邪引いちゃいました?」
あたふたする日菜乃ちゃん。
「あはは。大丈夫だよ。」
クシュンっクシュンっ
鼻をすすって、苦笑い。
「タオル出しますから、少し上がって下さい…」
「え?さすがに女の子の家には上がれないよ…」
「でも…岡本さんが風邪を引いたら…クシュンっ」
ボクたちは顔を見合わせて笑う。
「こうしてる間にも体は冷えるし…」
「じゃあ、少しだけ」