第37章 乱脈
スタジオの出口へ辿り着くと雨が降っている。
「雨ですね…」
「うん。雨だね。」
「日菜乃ちゃん、今日は何で来たの?」
「電車です。」
「そっか。ボクは車。」
「迷惑じゃなければ、駅まで送っていくけど?」
「え!?」
「出来れば、写真集の率直な意見を聞かせて欲しいんだ…」
「初めての経験だったから不安でさ。」
「私で良ければ…」
「よし。じゃあ決まり!駐車場まで走れる?」
「はいっ!」
そう言って、私は岡本さんの横を走る。
思ったより雨は強いけど、そんなの気にしない。
この時間が嬉しくて仕方ないの。