第37章 乱脈
「なぁ?ヒナ?」
頬杖を付いて、こちらを覗う達央さん。
「何ですか?」
視線を合わせず、私は答える。
「今日、下着何色?」
この人は、こんな時に何言ってるんだか…
「当たったら見せてあげますよ。」
時計に視線を移し、CM終わりを確認する。
「………黒。」
「俺はピンクだと思うな~」
突然参加の櫻井さん。
「何で櫻井さんが入ってくるんですか。」
「えー。楽しそうじゃん?」
「前野は?」
目の前にいる前野さんに腕を組んで、問う。
その瞳が楽しそう。
「ちょっと待って下さいよ…どんな展開なんですか?」
アタフタしてる前野さん。
そりゃ…そうですね。
この二人は、何を楽しんでるんだか。
少し呆れながら様子を見て、CM終わりのカウンターをチェック。
「なー。前野は何色だと思う?」
机に頬杖付きながら、楽しそうな達央さん。
「そろそろ始まりますよ。」
このままだと、オンエア中も話し続けそうな二人に声を掛ける。
~♪
CM終わりの曲が流れて再びオンエアが始まった。
「前野は?」
「だから…あんた達は何を言ってんですか…」
「えー逃げんの?前野。」
「ちょっと待って下さいよ。オンエア中!」
冷ややかな視線を3人に向けながら、今度は私が腕を組み黙る。
「ほら。水澤さん呆れてるじゃないですか…」
「えー。だって当たったら日菜乃が見せてくれるって言ったのが原因だし。」
「そうだよ。男としては死活問題。」
「元はと言えば、達央さんが言い出したんじゃないですか。巻き込まないで下さいよ…」
「それに。ほら。」
iPadに表示されるツイッターのコメント。
『何?』
『たっつんが食い付くって事は?』
『何?何?』
3人に画面をスクロールしながら見せつける。
「さて。話戻しますよ。」
「答え教えてくれるまで終われないな?」
「前野!早く言っちゃえよ。」
「あー!もう!水色!」
「正解は?」
「全員外れです。」
「はい。話戻しますよ!」
「嘘かも知れねーしな?」
「この人達は…」
スタッフを見つめ、女性スタッフを手招く。
ペコペコとお辞儀をしながらブースに入ってくる。
そのスタッフに近づいて、自分で襟ぐりを引っ張って見せた。
「全員ハズレですよね?」