第36章 離別
「森本さん。」
「今まで、ありがとうございました。」
今日で、送って貰うのも最後。
「貴方のお陰で、色々な事が出来るようになりました。」
「あはは。意味深な発言だな。」
「うるさい俺にめげずに、よく頑張ってきたよ。」
「これから先、大変な事は色々あると思うけど。」
「相談くらいなら乗ってやるから。」
「まぁ、頑張れよ。」
「じゃあ。」
手を振ると、車の窓が閉まる。
車外に出てくれないんだもんな。
相変わらず…
明日から、会えなくなるなんて実感がない。
小さくなる車を目で追う。
次にいつ会えるか分からないけど…
それまでに、貴方が驚くくらい成長してみせる。
頬を伝う涙を手のひらで擦る。
今だけは、泣いてもいいよね?