第35章 艱難
瞼を開けば、太い首に筋肉質な背中。
こうしてカラダを重ねるのは何度目だろう…。
上半身を起こして、部屋を見渡せば森本さんの私物が当たり前のように置かれている。
あの照明も森本さんの趣味。
私の物は使わないのに、自分の物は使わせる。
ベッドから抜け出し、寝室の扉に手を掛けると声を掛けられた。
「日菜乃…?風呂?」
グッと伸びをしながら、聞こえる大きな欠伸。
振り返ればピョンッと寝癖が付いた髪。
「俺も入るからお湯溜めといて。」
コクッと頷き扉を開く。
「お前さ…何か羽織れよ…」
「見のやり場に困るだろ。」
呆れる声に言い返す。
「どうせ脱ぐなら必要ないでしょう?」
「それに、今さら『目のやり場』なんて…」
苦笑しながら、寝室を出た。