第32章 追憶
日付も変わった深夜、デスクに戻りメールを開く。
いくつかのメールの件名を確認しながら、スクロールする。
『森本くん新担当~♪』
ふざけたタイトルに開封は後回し。
他のメールの確認と返信を終え、ふざけたタイトルをクリックする。
「ん?このIDは…準所属?」
アクセスしてIDを入力して、クリック。
そこに映し出されたデータに息をのむ。
『水澤日菜乃』
生年月日199○年○月○日
東京都出身
K大学文学部○年
201○年○月より準所属
写真を見れば、面接のあのコ。
「へー。受かったんだ。」
口角が上がるのに驚く。
「嬉しいのか?」
「ふぅーん。そうなんだ。」
PCを落とし、荷物を手に取り出口へ向かう。
まだ残っている社員に挨拶をして退社した。